公開日 2025年03月04日(Tue)
答 辞
暖かい日の光が降り注ぎ、春の風を感じる今日、私たち三年生八十四名は卒業の日を迎えました。本日、お忙しい中、ご臨席を賜りました御来賓の皆様、校長先生をはじめ、諸先生方、保護者の皆様、在校生のみなさんに卒業生一同心より御礼を申し上げます。
今思い返してみると、徳之島高校で過ごした三年間はあっという間でした。合格発表を待っていた三年前、不安で胸がいっぱいでしたが、合格したと知った時の喜び、そして、入学式の日、真新しい制服に袖を通した時の高揚感を、今でもはっきりと覚えています。あれから早くも三年の月日が流れ、卒業証書を手にした今、この学び舎で過ごした三年間の思い出が鮮明に蘇ってきます。
入学したばかりの頃は何もかもが初めてで不慣れなことばかりでしたが、中学校よりも長い授業時間と新しい教科の授業を受けていくうちに、徳高生という自覚がわいてきました。それからは、中学校からの同級生や高校でできた新しい仲間と共に努力し、壁を乗り越えながら学校生活を過ごしてきました。
そして、二年生になり、文系・理系・系列に分かれ、自分の将来を考えて、進路に沿った授業を受けるようになりました。そして、顧問の先生のご指導の下、仲間とともに日々の練習に励んだ部活動や生徒会活動など、高校生活のあらゆる場面で中心的存在となることが多くなり、一年前よりも大きく成長しました。そして、あっという間に三年生になり、徳之島高校という学び舎で過ごすのも残り一年。すべての行事に「最後の」という言葉がつくようになりました。
心に残る行事もたくさんありました。まずは、各学年各クラスが演目を出し合い、毎年大盛り上がりの文化祭です。生徒会の一人として、みんなが楽しめるような文化祭に出来るか不安でいっぱいでした。そんな不安とは裏腹に、オープニングでワンピースのパロディをしたときに、みんなが盛り上がっている姿をみて、うまくいくと確信しました。その後も始終会場の熱気は冷めやらず、徳高生の一体感を肌で感じました。その成功があったのも文化祭実行委員をはじめ、全員が主役となり、表舞台でも、裏方でも、協力し合い一丸となって作り上げたからです。各自が、自分の役割に責任を持ち、全うし、楽しみ、会場全体が盛り上がって、笑顔があふれていた光景は今でも忘れられません。
そして、私が高校生活の中で最も心に残っていることは、体育大会です。体育大会では学科、学級の垣根を越えて学年全体で声援を送り合いながら協力し合い、自分の全力を出して、優勝を目標に競いました。私たちは一年次から優勝を重ね、三連覇を目指すためにさらに団結力を高め、体育大会に臨みました。各学年の誇りをかけた綱引きでの、全員が大きな声援を送りチームを鼓舞する姿はとても印象に残っています。フォークダンスでは、三年生が自分たちで考えた振り付けをみんなが照れながらも楽しそうに踊っていた姿がアルバムの一ページを飾りました。惜しくも私たちにとって、最後の大会の優勝は逃したものの、体育大会が開催されたあの日、笑顔と元気が最もあふれていたのは私たち三年生だったと思っています。
そして、これらの活動を終えた私たちを待っていたのは受験でした。進学する人、就職する人、それぞれでしたが、一人ひとりが、真剣に自分の進路と向き合いました。放課後も学校に残って、多くの先生方に面接指導をしていただいたり、休日にも学校に登校し受験対策に励んだり、とにかく必死でした。受験の日が近づくにつれ焦りも大きくなっていきましたが、周りを見ると同じようにがんばっている仲間が多くいました。仲間たちのおかげで、自ら掲げた目標の達成に向けて、最後まであきらめることなく受験を乗り越えることができました。受験生として過ごしたこの一年間は特に自分を大きく成長させてくれました。徳之島高校で過ごした日々は一生の思い出です。つらいことや苦しいことから逃げずに戦い抜いた私たちなら、この先どんな壁があろうと乗り越えられるはずです。
私たちは体育大会やクラスマッチなどに、学年で力や心を合わせ取り組んできました。その時の体から溢れるエネルギッシュな声や素敵な笑顔、お互いに励ましあいながら乗り越えた姿は私の目に焼き付いています。まるで燃え盛る炎のように周りを照らし、熱狂の渦に巻き込んでしまう、そんな熱くて、笑顔と元気が絶えない三年生でした。キャンバスに命を吹き込むように、一人ひとりが色とりどりの輝きを放ち、その個性を重ね合わせて一致団結してきた三年生でした。これ以上ない仲間たちと出会えたことを、心から嬉しく思います。
昨年末には、大切な仲間である育仁くんとの別れがありました。みんな揃っての卒業はかないませんでしたが、私たちの心の中には、今も育仁くんの笑顔があります。いつも冗談を言って、周りを楽しく明るくさせる育仁くんが、命の大切さや、友達がずっとそばにいることが当たり前ではないということ、今、この一瞬一瞬が奇跡であり、かけがえのないものであるということ、たくさんのことを私たちに教えてくれました。ありがとう。これまでの仲間、これから出会う仲間をずっと大切にしていきたいと思います。そして、育仁くんのお父さんから託された、それぞれの夢の実現に向けて、精一杯がんばっていきます。
一・二年生のみなさん、私たちは先輩としてどのような存在に映っていましたか。みなさんを引っ張っていくには、力不足だったかもしれません。しかし、みなさんの行事や物事に対して向き合うパワーや情熱・素直さは、私たち三年生に勇気と元気を与えてくれました。良い後輩に恵まれ本当に幸せでした。ありがとう。この徳之島高校で多くのことを学び、経験してください。そして、在校生であるみなさんが徳之島高校の伝統を受け継ぎ、よりよい徳高を作り上げていくことを心から願っています。
また、本日まで私たちを支え、時にやさしく、時に厳しく指導してくださった先生方。生徒のことを第一に考え、真剣に向き合ってくださったおかげで、私たちは自分の夢を見つけ、進路実現に向けて努力することができました。生徒のために力を貸してくださった先生方を心から尊敬し、感謝しています。先生方から教わったことを胸に立派な大人になれるよう精進してまいります。本当にありがとうございました。
そして十八年間私たちを見守り、励ましてくれた家族のみなさん、本当にありがとうございます。特に受験生になってからは、焦りと不安でいっぱいになり心配をかけたと思います。学校から帰るのが遅くなり、手伝いができない日もありました。それでも、家に帰るといつも家族が「おかえり」と言葉をかけてくれて、温かい食事を用意してくれていました。いつも早起きしてお弁当も作ってくれました。そして、進路を実現するために様々なことに挑戦させてくれ、最後まで私の夢を応援してくれました。きっと、他のみんなも同じように、時には喧嘩をしたり、弱音を吐いたりしながら家族に支えられてきたと思います。多くの迷惑や心配をかけてきましたが、無事にこの日を迎えることができたのは家族のおかげです。これから私たちのほとんどが、島立ちをします。不安もいっぱいですが、この先も夢に向かって頑張りますので、温かく見守っていてください。
これから私たちは自分たちの足で新たな道へ進んでいきます。大きな壁にぶつかることもあると思いますが、その時は、徳之島高校で仲間と過ごして得た経験や思い出を糧として乗り越えていきます。
最後になりましたが、これまで私たちを支えてくださったすべての方々に心から感謝するとともに、徳之島高校のさらなるご発展を祈念し、答辞といたします。
令和七年 三月 三日
卒業生代表 富本 哲史