卒業式【答辞】

公開日 2024年03月01日(Fri)

答辞

 草木もようやく長い冬の眠りから覚め、生命の息吹が感じられる今日、私たち三年生六十九名は、卒業の日を迎えました。本日、御多忙の中御臨席を賜りました御来賓の皆様、校長先生をはじめ諸先生方、保護者の皆様、在校生の皆さんに卒業生一同、式を無事に挙行できたことを心より御礼申し上げます。

 期待と不安でいっぱいの中、徳之島高校の門をくぐったあの日から、早くも三年の月日が経ちました。見慣れない校舎に右往左往し、新しく出来た友人とのぎこちない会話から、私たちの高校生活はスタートしました。卒業証書を手にした今、この学び舎で過ごした三年間の思い出が、鮮明に蘇ってきます。入学したばかりの一年生の頃は、何もかもが初めてで不慣れなことばかりでしたが、新しく出来た友人と切磋琢磨しながら、勉強や部活動に励みました。そして二年生になり、文系、理系、系列に分かれ、より自分の進路に沿った授業を受けるようになりました。また、部活動や生徒会活動など、あらゆる場面で学校の中心的存在となり、一年前よりも大きく成長することができました。あっという間に月日は流れ、気付けば三年生になり、徳之島高校で過ごすのも残り一年となりました。

 私が最も心に残っていることは、文化祭です。特に今年は、新型コロナの影響を受ける前の形で実施することができた文化祭でした。毎年大盛り上がりの文化祭であったため、どのような文化祭になるか、私は当日まで不安でいっぱいでした。しかし、生徒会のオープニングの時に「新しい学校のリーダーズ」のパロディで会場が盛り上がった瞬間、私は文化祭の成功を確信しました。その後も終始会場の熱気は冷めやらず、徳高生の一体感を肌で感じました。その成功があったのも、文化祭実行委員をはじめ、全員が主役、全員が脇役となり、表舞台でも裏方でも協力し合ったからだと考えます。自分の役割を全うし、楽しみ、更に「楽しさの輪」が広がって、会場全体が笑顔で溢れていたあの光景は、三年生が中心となって皆で創り上げたものだと思っています。文化祭終了後も、会場で友人と写真を撮り、思い出を残す人が多くいました。そんな中、外部から来ていた高校生が「徳高の文化祭のレベルは凄い」「お金を払ってでも見に行きたい」と言っていたのを、私はとても誇りに思いました。この言葉が、その日の全てを表していると言っても過言ではない、そんな素晴らしい文化祭でした。

 各学年優勝を目指して白熱した体育大会では、どの競技でも学級の垣根を越えて、皆で声援を送り合いました。三年生が自分たちで曲を決めて一生懸命練習したフォークダンスを披露する姿や、各学年誇りをかけて戦った綱引きでの、全員が大きな声をあげてチームを応援する姿は、下級生にも良い姿を見せることができたのではないかと思います。優勝は逃したものの、体育大会が開催されたあの日、笑顔が最も輝いていたのは、私たち三年生だったと思います。その他にも、多くの行事がありました。三年ぶりの通常開催となった修学旅行。友人と美味しいものを食べたり、お土産を買ったりして、観光を楽しみました。部活動では、顧問の先生の御指導の元で日々の練習に励み、先輩、後輩、同級生にも恵まれ、かけがえのない時間を過ごしました。また、総合的な探究の時間における活動では、私たちの住む徳之島の魅力を再確認・再発見し、将来は島の地域振興に貢献したいと思うきっかけにもなりました。三年間、徳之島高校でしか味わえない経験をすることができました。

 そして三年生になり、私たちを待っていたのは受験でした。進学する人、就職する人様々でしたが、一人一人が真剣に自分の進路と向き合いました。朝早くに登校して勉強し、移動中も時間を無駄にすることなく、放課後も教室に残って共通テストや二次試験対策に向けて勉強しました。受験の日が近付くにつれ、次第に焦りが出てきたり、これまでやってきたことが正しかったのか不安になったりして、孤独で暗い気持ちが続く毎日でした。しかし、ふと周りを見ると、同じように受験対策に励んでいる仲間が多くいました。自ら掲げた目標の達成に向けて、最後まで諦めることなく懸命に励む仲間を見て、「苦しい思いをしているのは皆一緒だ」と自分を奮い立たせて受験を乗り越えることができました。それぞれの教室では、「ラストだよ。やり切ろう」と励まし合う人や鼓舞する人など、三年生のフロアは互いを思いやる気持ちで溢れていました。また、私が所属する一組が共通テストに向けて島を旅立つ日には、多くの三年生が港にかけつけてエールを送ってくれたおかげで、苦しい期間を乗り越えることができました。中には、思い通りの結果にならずに涙を流した人もいましたが、仲間が合格した時には皆で「おめでとう」と喜びを分かち合いました。受験生として過ごしたこの一年間は、特に自分を大きく成長させてくれた一年間でした。徳之島高校で私たちが過ごした、多くの思い出が詰まった日々は、私たちだけの青春です。辛いことや苦しいことから逃げずに戦い抜いてきた私たちなら、この先何があろうともきっと乗り越えられるはずです。これ以上にない仲間に出会えたことを、心より嬉しく思います。ありがとう。

 一、ニ年生の皆さん、私たちは先輩としてどのような存在として映っていたでしょうか。皆さんを上手く引っ張っていくには力不足を感じながらも、皆さんの行事や物事に対して向き合うパワーや情熱、元気さ、素直さは、私たち三年生に元気と勇気を与えてくれました。この学び舎で多くのことを学び、経験を積んでください。そして、在校生の皆さんが徳之島高校の素晴らしい伝統を受け継ぎ、島の方々から更に応援される学校を作り上げてくれることを心から願っています。良い後輩に恵まれ、本当に幸せでした。ありがとう。

 また、今日まで私たちを支え、時に優しく、時に厳しく指導してくださった先生方。生徒のことを第一に考え、真剣に生徒と向き合ってくださったおかげで、私たちは自分の夢を見つけ、進路を決めることができました。生徒のために頑張れる先生方を心から私たちは尊敬しており、感謝してもしきれません。先生方から教わったことを胸に、島立ちをしてからも誇れるような立派な大人になれるよう精進して参ります。本当にありがとうございました。

 そして十八年間、私たちを見守り、一番味方でいてくれた家族。私は三年生になってから、焦りと不安でいっぱいであり、また多くの困難がありました。それでも家族は、自分を暗い気持ちにさせまいと、仕事で疲れている中でもいつも笑顔で悩みを聞き、毎日朝早くに起きてお弁当を作ってくれました。また、勉強を夜遅くまでした後に毎日送り迎えをしてくれたり、私の進路実現のために何事にも挑戦させてくれたりと、最後まで私の夢を応援してくれました。きっと、他の皆も同じように、三年間沢山家族に支えられてきたと思います。多くの迷惑や心配をかけてきましたが、無事に卒業の日を迎えることができたのは、家族のおかげです。卒業後、私たちはほとんどの人が島立ちをします。これから先もまだまだ家族にお世話になると思いますが、少しずつ恩返しができるよう、夢に向かって頑張ります。暖かく見守っていて下さい。

 これから私たちは、自分たちの足で新たな道へ進んでいきます。大きな壁にぶつかることも多くあると思いますが、その時はこの徳之島高校で共に過ごした仲間を思い出し、三年間分の学びや経験、思い出を糧にして、力強く前へと歩んでいきます。

 最後になりましたが、これまで私たちに多くの愛情を注ぎ、応援してくださった全ての方々に心から感謝するとともに、徳之島高校の更なる御発展を願い、答辞といたします。

 

  令和六年三月一日

  卒業生代表 太山颯

DSC_2133