公開日 2023年03月01日(Wed)
答 辞
冬の寒さも和らぎ、日差しの暖かさに春の訪れが感じられる今日、私たち3年生88名は卒業の日を迎えました。本日、ご多忙の中ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、校長先生をはじめ諸先生方、保護者の皆様、在校生の皆さんに卒業生一同、心よりお礼申し上げます。
真新しい制服に身を包み、徳之島高校の門をくぐったあの日から、早くも3年の月日が経ちました。初めて出会う仲間たちと共に、きれいな海の見渡せる4階の教室で、私たちの高校生活は始まりました。卒業証書を手にした今、たくさんのことを学び、経験してきた今日までの3年間の思い出がだんだんと蘇ってきます。
入学したばかりの1年生の頃は、何もかもが初めてで、慣れないことばかりでした。そんな中でも、少しずつ高校生としての自覚を持ち、新しくできた友達と一緒に、毎日の学校生活を楽しく過ごしました。
そして2年生になり、文系、理系、系列に分かれ、より自分の進路に沿った授業を受けるようになりました。部活動や生徒会活動など、様々な場面で学校の中心的存在となり、1年前よりも大きく成長することができました。あっという間に時間は流れ、気づけば3年生になり、徳之島高校で過ごすのも残り一年。すべての行事に「最後の」という言葉がつくようになりました。
私が一番心に残っていることは、最後の文化祭です。保護者にご来場いただき、文化会館で開催するというのは、私たち3年生にとって最初で最後でした。そのため、どのような形の文化祭になるのかを想像しながら準備する時間は、とても不安な気持ちでいっぱいでした。そして当日、3年生が務める司会の声で文化祭が始まり、文化祭実行委員をはじめ、全員が主役、全員が脇役となり、表舞台でも裏方でも協力し合いました。自分の役割を全うし、楽しむことで、さらに観客にもその楽しさの輪が広がり、会場全体が笑顔で溢れていたあの光景は、3年生が中心となって作り上げたものだと思っています。文化祭が終わった後も、会場で友達と写真を撮り、思い出を残す人がたくさんいました。そんな中、2年生の一人が、「もう一回同じ文化祭をしたい。」と言っていたのを、私はずっと忘れられません。その一言がその日の文化祭のすべてを表していると思うと、言葉に表しきれないほど嬉しかったです。『これが徳高生だ』、と誇りに思う文化祭でした。
晴天の空の下、白熱した体育大会では、どの競技でもクラスの垣根を越えて、みんなで声援を送り合いました。3年生が自分たちで振り付けを考えたフォークダンスや、きつい練習を共に乗り越えた部員と再び団結して走った部活動対抗リレーなどもありました。優勝は逃したものの、体育大会が開催されたあの日、笑顔が一番輝いていたのは、私たち3年生だったと思います。
その他にも、たくさんの行事がありました。実施が危ぶまれた修学旅行。友達と美味しいものを食べたり、お土産を買ったりして、観光を楽しみました。部活動では、どんなにきつい練習も先輩や後輩、同級生の仲間たちと切磋琢磨しながら乗り越え、かけがえのない時間を過ごしました。また、総探活動やJALプログラムでは、自分たちの住む徳之島の魅力を、再確認、再発見し、自分の視野を広げることができました。3年間、徳之島高校でしか味わえない経験をすることができました。
これらの活動を終え、私たちを待っていたのは受験でした。進学する人、就職する人様々でしたが、一人ひとりが真剣に自分の進路と向き合い、朝早くに登校して勉強したり、授業が終わってからも放課後教室に残って、小論文や面接対策などをしたりしました。受験の日が近づくにつれ、次第に焦りが出てきたり、これまでやってきたことが正しかったのか不安になったりして、暗い気持ちが続く毎日でした。しかし、まわりを見ると、同じように受験対策に励んでいる友達がたくさんいました。あと少し、もう少し、夢を叶える場所に辿り着くために諦めず頑張るみんなを見て、きつい思いをしているのはみんな一緒だ、と自分を奮い立たせ、受験を乗り越えることができました。その頃、3年生の教室や廊下には、「お疲れ様。あと少し頑張ろう。」とお互いに励まし合う人や、「大丈夫、落ち着いて。気をつけていってらっしゃい。」と、これから試験に向かう仲間にエールを送り、苦しい時期を共に乗り越えようとする人がたくさんいました。中には、思い通りの結果にならず涙を流した人もいました。それでも仲間が合格した時には、みんなで「おめでとう」と喜びを分かち合いました。受験生として過ごした一年間は、最後まで自分たちらしい一年間でした。
何といっても、私たちはコロナウイルスに翻弄されてきた「コロナ世代」の一員です。入学してすぐに休校になり、学校へ行くこともできず、日常生活において常に見えない敵と戦ってきました。思い浮かべる友達の顔はほとんどがマスク姿です。しかし、そんな逆境を跳ね除ける我慢強さを私たちは身に付けてきました。下へ下へと強く根を張る雑草のように、思い通りにならない毎日にじっと耐えてきました。また、3年生は、一人一人に個性があり、十人十色のその個性が輝くことでカラフルな色の花を咲かせることのできる88人です。前向きに発想を転換し、どんな困難にも立ち向かい、自分たちで考え行動することを大切にしてきました。1年生の時に、オンラインで文化祭を開催したのも、その一つです。誰かと直接会うことを制限されていた私たちでしたが、距離をとりながらも、ずっと繋がり続けてきました。だから、授業中に誰かの冗談でみんなが笑ったり、昼休みや放課後にたわいもない話で笑ったりと、毎日3年生の教室には、いつもマスクに邪魔されないくらいの笑顔が溢れていました。徳之島高校で私たちが過ごした毎日は後にも先にもない私たちだけの青春そのものです。常に前を向いて進んできた私たちなら、この先どんな辛いことや苦しいことが待っていてもきっと乗り越えられるはずです。
在校生の皆さんには、『どんな壁が立ちはだかっても前を向いて少しずつ進めば、必ず道は開ける』ということを伝えたいです。そして、徳之島高校でしかできないことをたくさん経験してください。在校生の皆さんが、徳之島高校の良き伝統を受け継ぎ、さらに島の方々から応援されるこれからの徳之島高校を創り上げてくれることを応援しています。
また、今日まで私たちを支え、時に優しく時に厳しくご指導してくださった先生方。先生方のおかげで私たちは毎日充実した学校生活を送り、自分たちの夢を見つけることができました。先生方から教わった一つ一つのことをしっかりと胸に、島立ちをしてからも立派な大人になれるよう精進してまいります。本当にありがとうございました。
そして、どんな時も私たちの一番の味方でいてくれた家族。私は3年生になってから、進路のことで何度も親とぶつかりました。口をきかず、朝黙って家を出ていく日もありました。それでも、毎日朝早くからお弁当を作り、笑顔で学校に見送ってくれました。また、オープンキャンパスに連れて行ってくれたり、大学の資料を見ながら一緒に悩んで話を聞いてくれたりと、最後まで私の夢を応援してくれました。落ち込んでいる時には励まし、そっと背中を押してくれた家族には感謝の気持ちでいっぱいです。きっと他のみんなも同じように、三年間たくさん家族に支えられてきたと思います。時々、反抗したり、迷惑をかけたりしましたが、無事に卒業の日を迎えることができたのは家族のおかげです。卒業後、私たちはほとんどの人が島立ちをします。これから先もまだまだ家族にお世話になると思いますが、少しずつ恩返しができるよう、夢に向かって頑張ります。これからも温かく見守っていてください。
これから私たちは自分たちの足で新たな道へと進んでいきます。大きな壁にぶつかることもあると思いますが、そんな時はこの徳之島高校で共に過ごした仲間を思い出し、三年間で得た学びや経験を糧にして力強く前に進んでいきます。最後になりますが、今日まで私たちにたくさんの愛情を注ぎ、応援してくださった全ての方々、そして私たちを育ててくれた徳之島高校に心から感謝するとともに、徳之島高校のさらなるご発展を祈念し、答辞といたします。
令和五年 二月 二十八日 卒業生代表 牧園 優奈